ノバクジョコビッチの強さ徹底解説~最強のテニスマシーン~

選手解説

テニス史に名を刻む伝説のBig3の一人、ノバクジョコビッチ。ディフェンスを重視した安定感抜群なテニスから、時折見せる突き刺すようなカウンターショットを武器に35歳を超えた今なお世界のトップに君臨し続けています。生涯グランドスラムなんと3周、通算グランドスラム24勝(23年9月時点)など様々な記録を持つ最強のテニス星人のバクジョコビッチの強さについて解説します。

スキル五段階評価

フォアハンド:★★★★★
バックハンド:★★★★★
サーブ:★★★★☆
ボレー:★★★★☆
フィジカル:★★★★★
メンタル:★★★★★

ストロングポイント

AI君にジョコビッチの強さは何?と聞くとこのように返されます。
・優れた身体能力と運動能力
・高いコンディショニング
・素早い判断力と豊富な戦術性
・ストレス耐性に優れた強靭なメンタル面

結構あってるんですよね。すごい。それぞれ解説します。

優れた身体能力

まず190㎝くらいの恵まれた体格があり、単純にリーチが長いです。加えて、190㎝と高身長であるにもかかわらず、細やかなフットワークが非常にうまい。ジョコビッチがデビューする以前は190㎝近い選手はパワーはあるけど、フットワークが苦手だったり、ラリーを続けてポイントを取ることが苦手な選手が多かったです。

ジョコビッチはかつてのパワープレイヤーと同等のフィジカルを持ちながら、敢えてディフェンシブにプレーすることで確率のスポーツといわれるテニスにおいて非常に高くレベルで安定した戦績を残し続けられています。

高いコンディショニング

ジョコビッチは本っっっっっ当に怪我しないんです。180度開脚も余裕でできる非常に高い柔軟性を持っていて、身体的接触のないスポーツの割に選手寿命が短い(大体は30歳前に引退)テニスという競技において、デビューが18歳と比較的早くかつ35歳を超えてもなお第一線で活躍し続けるコンディショニング能力の高さには脱帽です。

違う競技で例に挙げると野球のイチロー選手も本当に怪我が少なかったですよね。それに匹敵するレベルの高いコンディショニング能力をジョコビッチは持っていると私は思います。

素早い判断力と豊富な戦術性

ジョコビッチは非常に優れたオールラウンダーであるため、どんな試合展開、どんな相手でも自分のペースに引きずり込むための多彩な戦術を持っており、かつどの戦術も高レベルで実現できています。

クレーや芝などボールが浅いボールが有効になりやすいコートでは積極的にドロップショットやアングルを使用したかと思えば、ハードコートでは徹底的に早いテンポで相手を追い詰める。さらに時にはループボールを使用してみたり、ととにかく相手のペースでプレーさせないことを第一に、様々な角度・ショットを繰り出してきます。

これらの多彩なショット・戦術を試合中でも常にアジャストさせ続け、常にプレーに変化があります。相手にとってはとにかくミスの少ないジョコビッチからあの手この手で仕掛けられると、ボディーブローのように効いてきて、試合の中盤から後半にかけて効果が出ることで競りはしたものの1セットも取れなかった、もしくは勝ちきれなかったというような試合を非常に多く見せてくれます。

ストレス耐性に優れた強靭なメンタル面

ジョコビッチはフルセットの試合の勝率が非常に高いことや、競った試合での取るべきポイントをしっかりとり切る強靭なメンタル無くして語れません

幼少期を紛争地域で過ごす

少しマニアックな話ですが、ジョコビッチは幼少期紛争地域で過ごしており、空襲の跡地で将来プロテニス選手になることを夢見てひたすら練習を繰り返していたようです。

その際は一度爆撃された箇所を選んで練習地にしていたようで、理由は「一度爆撃したところを二度は爆撃しないだろうから」だったとか・・・ちょっと私のような一般人には爆撃地で練習なんて恐怖心が勝って練習どころではない気がします・・・

How To Play より How To Win

こちらも幼少期のジョコビッチのエピソードで、テニスクラブのコーチに対し、「私はプロとして活躍するためにHow To PlayよりもHow To Winを学びたい」とリクエストを出していたようです。これ以外にも幼少期にはすでにテニスクラブに行く前には自身でウェアやタオルなどの用品をしっかりと準備して練習に備えるというストイックさも兼ね備えており、この頃から”自分はテニスで成功しなければならない”という強い使命感を持ってテニスに取り組んでいたことがよくわかります。

No.1になって、グランドスラムを20回以上制覇してなおハングリーさを持ち続けるジョコビッチは幼少期からやはりハングリーだった・・・ということです。

世界最高のバックハンド

ジョコビッチの強さを語る際に要因として特に挙げられるのがこのバックハンドで、特に正確性が世界一です。

バックハンドからジョコビッチよりも速い球、よりスピンのかかった球を”単発で”打てる選手は世界にいくらでもいます。しかしテニスは確率のスポーツ。自身が苦しい体勢にありながら100球でも200球でも狙った箇所へコントロールし続ける必要があります。これをバックハンドで世界で最も上手にできるのがジョコビッチです。

試合を見ていると再三目にするシーンとして、相手に振られてようやく追いついたバックハンドでより厳しいコースへ切り返す、または相手に連続で攻撃を許さないベースライン深くへコントロールする、一見すると一撃でエースになるボールではないので派手さはないのですが、相手としては攻めきれないという焦りと半端な攻撃ではカウンターを食らってしまうという相反するストレスを常に抱えながらジョコビッチを相手にする必要が出てきます。

このバックハンドの高いスキルはジョコビッチの永遠のライバルである対ナダル戦でも発揮されます。対ナダルで最も警戒すべきショットはナダルの回り込み逆クロスですが、このショットはナダルのフォアを嫌いバックハンド側へ配球したが甘くなった球をトリガーにすることが最も多いです。
しかしジョコビッチはバックハンドでナダルのフォアハンドと打ち合えるレベルの高いバックハンドを持っているため、不用意にバックハンド側を狙うということはせず、自分に有利なタイミングでナダルのバックハンドへ配球できるため、ラリー戦を優位に進めることができています。

ちなみにナダルはジョコビッチとの試合直前の練習相手にサウスポーをチョイスすることもあるくらいジョコビッチのバックハンドを警戒しています。

ウィークポイント

ジョコビッチが2011年に年間GS3勝の華々しいデビューを飾る以前は、サーブの安定感のなさとネットプレーのポイント確率の低さがウィークポイントとして挙げられていました

しかし、2011年以降は特に不安定だったセカンドサーブの確率も向上し、ビックサーバーほどでないものの、持ち前の堅いストロークを活かすには十分すぎるほどのサーブ力を手に入れました。一見200キロ前後と派手さのないサーブですが、相手に的を絞らせない非常に効果的なサーブになっています。

以前はウィークポイントであったセカンドサーブも今や様々な球種・コースを使い分けられており、世界屈指のセカンドサーブの持ち主にまで成長しました。

ネットプレーについては2011年の時点ではまだぎこちなさの残るものでしたが、30歳を超えたあたりからショートポイントを重ねることを以前よりも意識し始めたためか、ネットプレーの質はシングルスでは十分なレベルになっています。

ただ、ダブルスは全くのダメダメで、Big4で唯一デビスカップ(シングルス3本、ダブルス2本の国別対抗戦)でダブルスに起用されないこともある選手です。レーバーカップなどでもフェデラーとダブルスを組んだりしていましたが、そもそもダブルスの理解度が低く、完全にフェデラーの足を引っ張っていました。(笑)

2023年のデビスカップでもイタリア戦でダブルスに出場していましたが、見ていて悲しくなるくらいダブルスがへたくそでした。そもそもダブルスの経験がなさ過ぎてフォーメーションや戦い方を理解できていないようなそんな戦い方に見えました。

小話

徹底した健康管理

ジョコビッチは現役中に自身の食に関する考えを書籍化し出版するなど、自身の健康管理に対しては非常にストイックに取り組んでいます。

グランドスラムを戦う会場であるアメリカやオーストラリアに入国するための条件であったコロナのワクチンを結局最後まで打たなかったりというのもやはり彼の体調管理を自身で考えた末とコメントを出していたりもしますよね。

西岡選手もYoutubeチャンネルでジョコビッチは本当に食事に対してストイックであると語っていますね。

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